人事のプロはなぜオランダに渡ったか。登山がルーツの生存戦略

日本人の持つ「特権」を活かしたほうがいい

鈴木:廣田さんは海外志向がおありなのですか?

廣田:海外に移住したいと思うことはありますが、移住した後のイメージは案外作りにくくて。移住してみたいという目的止まりですね。

鈴木:移住した場合、最初の1年はきついと思います。私もそれで白髪が増えました。子どもがいるので、学校とのやり取りなど日本とは異なる文化や哲学といった背景からくるロジックや仕組みのことを理解するのは結構苦しかったです。家族の生活もあるので、最初はなかなか楽しめない。どうしても日本のスタンダードが身に付いているので、あらゆることがストレスに感じると思います。極端なことを言えば住むだけならば誰でも暮らしていけます。極論、現地の人と会話しなくても生きていけます。役所と大家と会話さえできれば、生活は成り立ちます。移住した意味があるのかとは思うでしょうが。

廣田:そうですね、やはり移住の目的が重要ですね。

鈴木:でも実際に、日本人って世界からものすごく信頼されているということは感じます。先人の努力の積み重ねの結果だと思いますが、他の国の方々に比べてビザを取りやすいという日本人の特権を生かさない手はないです。ビザの範囲内であれば、日本以外でも住める国はたくさんあります。例えば、沖縄に移住してみるのと勢いとしては変わらないと思っています。数年経てば、私みたいにさほど英語ができない人間でも暮らせているので、想定していたよりハードルは高くなかったというのが実感です。

廣田:オランダで日本の案件もリモートワークで担当されるということですが、困ることはないのでしょうか?

鈴木:いやありますよ。日本の始業時間はこちらだと深夜で、日本の夕方がこちらの始業時間です。外の明るさも違えばお互いのテンションも真逆です。もちろん、時差があることを前提にしているので、12時間以内に返答することが分かっていればお互いにストレスはないですね。あと困るのは食事ですね。海外にいるとふるさと納税を使って取り寄せた各地の特産品の味が恋しくなります。

廣田:オランダは酪農が盛んなイメージがありますが。

鈴木:チーズのイメージはありますよね。オランダは実は世界でも第2位の農作物輸出国という面を持っています。ただ、やはり日本の食は段違いに繊細で美味しいのに安いです。移住してたいていのことは良かったと思っていますが、食だけは別ですね。胃袋を日本という国につかまれているということを実感します。

廣田:なるほど、日本に住むことの良さに海外に出て気づくことができるという面も移住にはありそうです。本日はいろいろと貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。

Edior’s Note

昨今、ビジネススキルとしての「メタ認知」の必要性が注目されています。自分を客観的にみつめて強みや弱みだけでなく、思考のクセや価値観まで理解したうえで、行動に反映できる能力です。

気づいていたらコンサルタントになっていたと語った鈴木さん。一つ一つの転職の話を断片的にとらえると見逃しがちですが、インタビューを通じて根底に感じたのは、このメタ認知の力です。

自分に何ができて何ができないのか。自身との対話の繰り返しがキャリアを作っていくということを改めて実感したインタビューでした。

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