アフターコロナのHR業界×IT 樫村周磨代表が語る時間価値、業界勢力図の変化、安心の定義。


今回お話しいただくのはこの2人!(以下敬称略)

樫村 周磨   ゼスト株式会社代表取締役。日本のHR業界を牽引する存在であり、現在は世界でも活躍中。日本最大級の人事勉強会(社)グローバル人事塾代表理事。(社)デジタル・イノベーション理事。i U情報経営イノベーション専門職大学客員教授。米国CCE,inc認定.GCDF-japanキャリアカウンセラー。

廣田 真一   未経験からITの世界に入り、ERP導入コンサルタント、フリーランス(PMO/新規事業PJ)、社内SE(社内システム企画/情シス)を経て株式会社Number「SaaS人材のチャンピオンサーチ」事業責任者。大企業からベンチャーまであらゆる事業規模のITコンサルティングを手掛ける。得意領域はワークフローのデジタル化、制度会計/販売管理。推しツールはServiceNow。


今、ITの現場は

廣田
廣田

私はITプロジェクトの体制構築という形でクライアントサポートに入ることが多いのですが、コロナになってから体制構築も、クライアントのニーズも大きく変化してきています。インターネット中心のネットワーク整備が主体で、ベンチャーならslack、大手の企業ならteamsなどに代表されるコミュニケーションツール導入が一巡した印象です。

廣田:ベンチャーが俊敏性を生かしてやってきたことを、大企業が一気に体制を作って対応しているなっていう印象にあって、この動きは「一過性のはやりじゃなくてかっちりとしたトレンドになっている」って、今まさに感じているんです。

人材業界の現場は今

樫村:コロナ後に明らかに変わったのは人材採用系です。コロナが2月ぐらいからで、去年の春から求人件数が急激に落ち始めたのが1つ求人業界の波です。それに伴って人材派遣や人材紹介も影響を受けて。特に、ポテンシャル層の採用の行く末っていうのが顕著になってきましたね。

廣田:それは事業がいったん止まるから人を入れるのもいったん止めようという動きですか?それとも、もっと違うところに心理的抵抗感があるのですか?

樫村:採用費抑制ですね。売上げが下降する中で、まず採用費に着手していくというのが、実際に取引先を回って経営者や人事の方々から聞いた話です。海外と日本との採用、私も韓国のエンジニアを日本に紹介する事業をやっていますが、完全に止まりましたね。ビザの申請が出せないとか、隔離などの原因もあって。

廣田:完全に止まったのですか?

樫村:100%止まりました。

廣田:本当ですか…。コロナの初期には、IT系のプロジェクトも軒並み止まったんですよ。特に新規開発系は全部止まって。保守運用はどうしてもやらなくてはならないので、頭数を絞って人員の入替えをして。海外は完全に止まるんですね。

樫村:止まりましたね。日本から海外へ人材紹介していたとか、その逆もしかりで、両方ともストップしてしまった。だから、海外で人材ビジネスを行っている方は皆さん日本に帰ってきている状況ですね。日本で新しい事業をおこそうって動いている方が多い。

廣田:その状況は今も一緒ですか?

樫村:今も同じですね。コロナでマッチングの部分が難しくなってきたので、人事コンサルとかコンサル業とか労務関係の整備のサービスを作って提供する動きは増えています。

廣田
廣田

一時、オフショア開発で離れた地域で開発するっていうのは結構ありましたけど。

樫村:ありましたね。

廣田:海外とネット環境がつながっていさえすれば仕事できる状態ではあるので、現地にいる必要性は下がっていくのではないかと素人目線では思っちゃうんですけど。実際はそうはいかないんですね?

樫村:実際行かないですね。例えばエンジニアだと現地にいる必要性がどうしても出てくる。海外から日本で働きにくるというのが、物理的に難しい状態になっていると。一方、オンラインサービスの会社は訪問する必要性がないので海外居住者とオンラインを使ったサービスを考えて会社を興すとかっていう動きも出てきてますね。例えば、アメリカ在住の人と日本在住の人とか。ヨーロッパ在住の人と日本在住の人とか。

Number廣田の考察

採用や新規開発の停止は、コロナ禍で企業がとった行動として、守りの姿勢が鮮明だったことが伝わってきました。一方、個人では、オンライン化によるコミュニケーションの自由さ、機動力を生かした個人対個人のコラボレーションが活性化。

コロナ禍という今まで体験したことのない環境の中で、攻めの個人と守りの企業という面白い構図ができあがっています。

新しい価値観の真っただ中にいることに興奮します。

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