アフターコロナの採用 リモートで「つながる」テクニック

入社直後のコロナ

「コロナ禍だからこそ」コミュニケーションを武器に新卒採用を大成功に導いたスーパー社員がいると聞いて、われわれNumberは、八丁堀にあるSAPコンサルタントを多数抱えるクレスコ・イー・ソリューションさんを訪問した。フリーアドレス制を取り入れたおしゃれなオフィスで出迎えてくれたのは、人事部長の村田さんである。

廣田
廣田

ITコンサルタント業は、クライアント先に行く時間が多いですし、会社としてどう組織を盛り上げていくのかがとても重要ですよね。そのための風土作りや組織作りの仕掛けが必要じゃないかなと思っています。

特に、コロナになって「つながり」って意図的に作らないと醸成できないと思うんです。僕の例で言うと、必要のあるミーティングしか行わなくなってしまいました。プロジェクトの仕掛けや、仕事だけではない非言語的なコミュニケーション、メンタルのケアは、これから変わってくると思っています。

本日は村田さんに、そういった部分のお話をお伺いできればと。いつ頃から人事部長をされてるのでしょうか?

村田:この会社に来て今でちょうど1年ですね。

廣田:まさに、この会社に来られたタイミングでコロナじゃないですか。

村田:そうなんです。

村田 智太郎

クレスコ・イー・ソリューション株式会社  人事部長兼経営企画室長 1965年生まれ 建設会社、IT会社、広告会社において、総務・人事・経営企画に従事。2018年よりスポーツメンタルコーチとしても活動。体験学習やコーチングを活かした採用や教育を得意とし、現在は風土づくりに取り組んでいる。趣味はランニング。2018年にサブスリー(3時間以内)を達成し、仲間とのランを楽しんでいる。

廣田:コロナ禍で入られる前の期待値と実際の差が大きかったと思うのですが。

村田:そうですね…やっぱり会社の人にまったく会えなかったっていうところですよね。もともと在宅が主だったのですが、コロナでますます社員が会社に来なくなってしまったので、会うのが管理部門の人ばかりで。現場の部長さんとか課長、GM(グループマネジャー)と会う機会がなくて。そこは最初に戸惑いましたね。

廣田:村田さんが入社された時に持たれていたミッションはどのようなものだったのでしょう?

村田:社長に声をかけられてこの会社に入ったのですが、「ロイヤリティを高めたいんだ」と言われていて。そのために人事制度を変えたり、採用がミッションです。

廣田 真一

未経験からITの世界に入り、ERP導入コンサルタント、フリーランス(PMO/新規事業PJ)、社内SE(社内システム企画/情シス)を経て株式会社Number「SaaS人材のチャンピオンサーチ」事業責任者。大企業からベンチャーまであらゆる事業規模のITコンサルティングを手掛ける。得意領域はワークフローのデジタル化、制度会計/販売管理。推しツールはServiceNow。

わたくし、村田が来ましたよ。

廣田:最近はSAPのコンサルタントだとフリーランスやエージェントが増えていますし、人材の流動性は高まっていますね。辞める人を防ぎたい、会社の求心力を高めたいというミッションに対して外部環境が厳しいと思うのですが、どのように進められたのでしょうか?

村田
村田

採用を進めながらいろんな社内の人とつながっていって、徐々に「なんか来たぞ」「今回の人事、なんか違うぞ」と私自身を印象付けるところから始めたんです。

村田:はじめ、社員は人事に対して、期待感がまったくなかったんですよ。そういうポジションから、まずは社内SNSで社員と接点を持つところから始めました。

人事への期待値が低い状況だったので、「何か新しいことしよう!」って話しかけても否定的な返事しか来ない。それでも、「新しいことしたいから、どうしたらいいと思う?」って粘り強く会話を続けたら、「あれ、人事なんか違う」って皆の私を見る目や接する雰囲気が変わってきました。

まず、社員の何人か、特に、物言う人から巻き込み始めました。現在ではその人たちは協力してくれるようになっています。

人事と社員の接点を作った後に実施したのが新卒採用です。同じように新卒採用も、社員みんなを巻き込もう!と、実際採用の現場に参加してもらいました。「なんか今までと違うよね」「うん、違うよね」と、違和感を楽しんでもらう。そこから始めました。

例えば「オンライン採用どうしよう?」って発信したら「じゃあ、まず会社説明の動画を作ろう」って、動画を使っている部署が手伝ってくれて。撮った動画を学生に流しました。

廣田:新卒採用が会社の一体感を作るお祭りのように、盛り上がって行ったのですね。

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