アフターコロナの採用 リモートで「つながる」テクニック

今年の新卒、なんか違う。

村田:オンラインの新卒採用活動では座談会形式にこだわったんですよ。説明会に集める人数は6人を上限に1時間の中でとにかく質疑応答をひたすらやる。で、ビデオで会社概要を見てもらって「なにか聞きたいことある?」って聞いて。途中(私が)パソコンのインカメで社内を映しながら歩き回って社内見学したり。

廣田
廣田

とてもインタラクティブ性を意識されてたんですね!

村田:内定者懇親会で先輩社員と学生と絡んでもらったら、「今までより今回は元気な学生が多くてびっくりした」という社員の反応がありました。そこで「なんか今年の人事、新卒は違うぞ」という雰囲気が確定的になった気がします。

「会社の良い所は何ですか?」という学生からの質問に、「会社の良い所はね…」なんて答えている社員らも「なかなかこんなことを考えたことがなかった」って。目の前の仕事やプロジェクトで関わる周りの人とは話すけど、「うちの会社って何?」とか「自分がどんな目的でこの会社に来たの?」とか、そんなことあまり考えてなかったのだと思います。

廣田:どうしてもプロジェクトに入ってクライアントワークになると、ほぼそのプロジェクトだけに思考とコミュニケーションが閉じてしまいますよね。SAP導入のような大規模なプロジェクトになるとプロジェクト体制は他ベンダーとの混成になりますし、所属組織への意識は余計に行きにくい。

村田:そうですよね。エンジニア向きかどうかより、コミュニケーション能力を重視して採用したので、今までと雰囲気の違う学生が来た感じがあって、刺激になったんじゃないかな。今までも個性的な子はいましたが、元気な感じの子はあまりいなかった。だから面白かったですよ。内定式は、部長たちにも来てもらって祝福しました。

廣田:今までと違う雰囲気の村田さんが来て、新卒採用も今までと変わってきて、会社としての盛り上がりも出てきているということですね!

村田:特に新卒の子たちはストーリーを持っている子たちばっかりだったので、変化を起こせていると思います。

コーチングスキルはオンラインコミュニケーションの救世主になりうる

廣田:ストーリーを持っている子…なかなかその「ストーリー」って自分で語るのは難しいと思うのですが、もともとストーリーを語ることがうまかった学生が多かったのですか?

村田:コーチングの手法を使って、学生時代に力を入れてきたことを、その時の場面から話してもらうんですよ。

「その時に一番最初何をした?」「最初打合せしました」「打ち合わせって他に誰が居ました?」って。で、「その会話を聞いた時あなたはどう思ったんですか?その時」「その時ね、悔しいと思ったんですよ」「それで何しましたか?」「だから私ちょっとこう言ってみたんです」「そしたら?」とずっと聞いていくんです。きちんとやってきている人や、思いを持ってやってきている人は、気持ち良くなってその時のことをどんどん話してくれます。

適当に考えてきたりとか、作り話を作ってる人はつっこまれるとね、嫌がる。

廣田:よく言うテンプレの潤滑油ストーリーを作ってる人ですね(笑)。

オンラインのコミュニケーションが中心になるからこそ、コーチングの手法ってもっと注目されるべきかもしれないですね。

村田:と思いますね。場を作ったり引き出したり、コーチングってとにかく質問ですから。例えば、過去から未来をイメージして、3年後どうなっていたいのか、未来の自分をちょっと味わってみよう、って。スポーツメンタルコーチングでも、コーチングを使います。アスリートの期間ってよく人生に喩えるとすごく短かったりするので、「50、60になった自分から今の自分を見たときにどんな声をかける?」なんて質問には大きな気づきがあったりします。

廣田:アスリートとして活躍できる期間はすごく短いですもんね。

村田:そう。だから「じゃあ今ここで何をするんだ?」とハッと気づいたり。問いかけたり、きちんと受け止める「コーチング」って、オンラインだからこそ重要なんじゃないかなと思いますよね。

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