Web3の波が来た。ITエンジニアはどのようにキャリアを選択すべきなのか?

IT人材のキャリア選択としてWeb3はあり?なし?

廣田:ここまでWeb3ってなんでトレンドになっているの?という部分を大きな流れで見てきたのですが、

廣田
廣田

Web3はIT人材のキャリア選択としてアリなのでしょうか?

久松:WEB3に限らず、一つの専門性に全賭けするとITエンジニアのキャリアはとても脆いです。

時代の変化を拒んだことで需要がなくなり、食えなくなってしまう方は何名も見かけました。一つの専門性を突き進んでいくとその進む過程で投資した時間や費用が惜しくなり、鞍替えするのがもったいなく感じたり、都落ちしたような不憫な気持ちになりがちです。それ故に変化ができない人が発生します。

久松
久松

だからWEB3に参入するエンジニアは、きちんとその思想やロジックを理解して参入する。そして、違う専門性も追加で持っておいて、最悪WEB3のキャリアが断たれてももう一つの専門性で復帰できるくらいの感覚は持っておかないと、危険です。

廣田:ブロックチェーン、特にスマートコントラクトのコーディングはどんどん敷居が下がっています。

久松:コンピューター界隈は、技術が高級化することで従来の専門性が高くて参入しにくかった部分を技術の進化で簡単に見せてしまえるのです。

廣田:ローコードですね!

久松:Web3とは違う例ですが、スタートアップ界隈で若いエンジニアに「こういう条件でデータ抽出して」と依頼したら「Ruby on Railsを使っていいですか?Active Recordが使えないとできません」という回答が返ってくる事例がありました。

廣田:RDBがわからない?

久松:そうです。

より簡略化された技術レイヤー(=高級化された技術)で止まってしまうんです。

廣田:技術を習得するために簡単なところからやってみよう、というのは価値あるチャレンジだと思いますが、簡略化された技術レイヤーから動けないのは問題ですね。

久松:私の持論ですが、コンピューターに近い低級技術や低レイヤ技術から、一般ユーザーに近い高級技術や高レイヤ技術に行くのは簡単に感じられるエンジニアは多いです。しかし高級技術や高レイヤ技術から低級技術や低レイヤ技術に行くのは相当辛いので、ほとんどいません。

特に未経験のエンジニアで起きているのは、最初になんとなくRubyから手を付けて挫折。Javascriptを始めてReactに手を付けるもわからなくて挫折。そしてHTML/CSSで挫折。それでもわからなくて、デザイナーに行ったりマーケターに行ったり動画編集に行ったりする方が増えています。。

徐々に技術レイヤーが上がっていくのです。

廣田:確かに「WordPressならできます」という人がいますね。。。

久松:それで延長された定年である70歳まで食える? と思うのですが、食えないですよね。

簡略化された高い技術レイヤーから一歩踏み出して、低い技術レイヤーに挑戦する気概。Web3を取り巻く技術環境が充実しつつある今だからこそ、基礎技術に取り組む必要がある。

Web3だけじゃなくても需要が高まるセキュリティ人材

廣田
廣田

Web3では、資産とコードが密接に紐ついているので、セキュリティ分野のスキル需要も高まってくると思っているのですが。

久松:全体的なエンジニアのトレンドを見ていても、ここへきてセキュリティエンジニアの需要が高まっています。世間的にCISO(Chief Information Security Officerの略で、最高情報セキュリティ責任者)は確かに不足しているものの、しっかりした知識や経験を持ったなり手がいるのかどうかは、疑いを持っているところです。

廣田:事業に求められるセキュリティの話と、理想的なセキュリティの話は違ってきますし、バランス感覚持ったCISOの担い手は存在するのか?と私も思います。

久松
久松

評論家ではなく、事業にコミットしてほしい。という意味で、DevSecOpsという概念が出てきたのは必然ではないでしょうか。

廣田:Web3のセキュリティ面でいうと、スマートコントラクトはコードがむき出しになっている分「ちょっとかじりました」というスキルで突っ込むと大やけどするキャリア選択かもしれませんね。

トレンドに惑わされないIT人材のキャリア選択

廣田:Web3ってどういう構図で出来てるものなの?という話や、キャリアの選択としていいの?という話をしてきましたが、トレンドに惑わされずキャリアを選択する際のポイントはあるでしょうか?

久松
久松

WEB3もそうですが、コンセプトや思想に共感した上で参入することが健全ではないでしょうか。最近は、最初から「どう儲けるか?」「どう稼いで逃げ切るか?」という思想だけで参入している人も多いので、その点は注意ですね。

廣田:未経験からフリーランスになって年収1000万円!という謳い文句には注意せよ、と共通するものがありますね。

久松:哲学の世界で物事はらせん状に発展していくというゲオルク・ヘーゲルの弁証法というものがあります。特にインターネット界隈はトレンドの移り変わりが激しいため、何年か前の栄枯盛衰をトレースすることが多いです。歴史に学ぶと、こういう風に転ぶかも。ということは見えてくると思います。

トレンドはあくまでトレンド、永遠ではないということです。

廣田:歴史に学び、トレンドといかに付き合って自分の軸をもってキャリアを選択することが重要ですね。本日は貴重なお話ありがとうございました。

Edior’s Note

毎年、大小の技術トレンドがIT人材のキャリア選択を迷わせます。

DX、Web3…キャッチーな言葉に踊らされることなく、その言葉が作り出された背景、コンセプトや思想を理解して参入する姿勢、トレンドワードを支える基盤技術を探求する気概が試されています。

長いIT人材人生の中で、選択した技術が廃れる可能性はゼロではありません。自分の決断に対して、胸を張るために、気持ちはもちろん、十分なリサーチも大事だと感じました。

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